かたや、売れないと嘆きながらも、売れている店は実在する。
ポイントとか割引とかではなく、売る努力をする人のいる店。
小売の現場で、接客を愉しむ。

この季節、なにか羽織れるものをと店に入った。
声をかけたら、一人の男性がすぐに快く接客をしてくれた。

さすがにこの季節は半袖がメインなので
ストックルームから出してきてくれた。

服を試着後、「いかがですか?」とその方は言わなかった。


鏡の前で、僕が直感で感じた事を言う。
色よりもフィッティング具合だったり、体とのバランスだったり。

僕の発言の後にまずその服のデメリットもきちんと説明し、デメリットを僕が理解した上で、商品のメリットを必ず一言添えてくれる。


お金を消費する消費者として私を見ているのではない。
彼の『接客』を感じた。

接客業が好きなんだろう。この仕事がすきなんだろうな。
靴やチーフやネクタイを見ると、どのどれもがとても手入れされていて、ファッションが生活の中にある人だった。



その商品がその人の生活にどう関わっていくのかを、接客の中で情報を分析し、商品のメリットと合致するものを探してくれる。
会話の中で、焦点をあわせていくのはさすがプロと感じた。

「どんなお仕事ですか?」と聞かずに、僕が軽い服を選ぶと
「出張は多いのですか?」と聞いてくれた。


会話の中で焦点を合わせ、その人の生活に組み込まれる物を探す。
ちょっと上の接客を久しぶりに体感出来て、嬉しかった。