帰り道、お寺さんの脇

帰り道に、そうだ今川焼を買おうと思って踏切の角のお店に寄った。
大将は次々と焼いていたが、僕が食べたい味はちょっと時間たっていて、

『お兄さん、これ固くなっちゃったから半額でどうぞ持ってってよ!』

なんかかえってすいませんとお辞儀をした。かぼちゃとさつまいもの餡。ほっとして、やさしい甘さで美味しかった。

明日のお弁当メニューを考えながら商店街を進み、豆腐屋さんにたどり着いて、厚揚げくださいな。

『これ、サービスでもってきな、ね!』
おばちゃんがおでんだねを何個か入れてくれた。

僕はまた、なんかかえってすいません。と深くお辞儀をした。


買い物袋を提げ、お寺の脇を通って帰る帰り道に月を見ながら僕はこんな事を思いました。

今日いまいち踏み込めなかった自分が落ち込んでいて、元気なしが顔に出ちゃったのかな、と。
角のお店の大将も、お豆腐屋さんのおばちゃんも、きっと僕の顔を見てくれて『食べて元気だしなさい』って事なんだろなって事を。

自分のところの商品で元気になってよっいう心使いに触れて、僕はとてもありがたく感じた。
甘えてしまった申し訳なさも。


次に買いに行った時には、僕は元気と笑顔で、この前はご馳走さまでした!とお礼を言いたいと思うのでした。